デスクまわりで投資してよかったもの|一人暮らし10年のベストバイ

黒い小物で整えられた片付いた作業デスク

引っ越しのときに、デスクを一度すべてバラした。天板からアームを外し、ケーブルを引き抜き、椅子を分解して積み込む。その作業中にふと気づいたのは、この10年でデスクの上の道具はほとんど入れ替わっていない、ということだった。今回は『一人暮らし10年のベストバイ』の3本目として、デスクまわりで投資してよかったものを、買ってよかった順に並べていく。高い買い物が正解だったものと、安く済ませて十分だったものも分けて整理する。

目次

デスクまわりは投資が効きやすい

道具にお金をかけるかどうかを決めるとき、判断の軸はひとつでいい。その道具に触れている時間が長いかどうかである。デスクまわりは、この基準でいうとかなり上位に来る。在宅勤務のある平日なら、椅子に座っている時間は8時間を超える。休日にゲームや調べものをする時間まで含めれば、ベッドの次に長く体を預けている場所だ。

だから、デスクまわりの投資は効き目が分かりやすい。1万円の差が、1日8時間×週5日に効いてくる。逆にいえば、月に数回しか使わないものに同じ金額を出すのは、効率が悪い。この差が、後半で書く「高くてよかったもの」と「安くて十分だったもの」の分かれ目になっている。

もうひとつ、デスクまわりの道具には寿命が長いという特徴がある。炊飯器や掃除機はモーターや電子部品が先に力尽きるが、アームや椅子や照明は、構造がシンプルなぶん壊れにくい。10年単位で使えるなら、価格を使用年数で割った数字はかなり小さくなる。

クランプで固定されたアルミ製のモニターアーム

買ってよかった順に並べる

順位は「なくなったら一番困る順」でつけた。値段の高い順ではない。

モニターアーム

1位はモニターアーム。これは迷いなく決まった。使っているのはエルゴトロンのLXで、10年近く同じ個体を使い続けている。実売価格は執筆時点で1万6,000〜2万円前後を行き来していて、セールのタイミングでは1万6,000円台まで下がることもある。相場は動くので、買うなら価格の推移を少し眺めてからでいい。

効き目が大きいのは、画面の高さと距離を自由に決められることだ。モニター付属のスタンドは高さの調整幅が狭く、目線がわずかに下がった位置で固定されることが多い。首が前に落ちた姿勢のまま何時間も作業するのと、目線の高さに画面が来ているのとでは、夕方の疲れ方がまるで違う。加えて、モニターを浮かせた分だけ天板が広くなる。この副産物が地味に大きい。

メーカーによれば、LXはコンスタントフォース技術でモニターの重さを打ち消し、片手で位置を変えられる設計になっている。実際、片手でつまんで持ち上げて、指を離した位置でぴたりと止まる。10年経った今も、この動きが鈍っていない。素晴らしい機構である。ときどき意味もなく上下させてしまう。

クランプ式のアームは天板の厚みと耐荷重に依存する。設置前に天板の対応厚(一般に10〜60mm程度)と、奥にクランプを噛ませる余地があるかを必ず確認する。

椅子

2位は椅子。使っているのはオカムラのシルフィーで、実売はおおむね7万〜10万円前後。デスクまわりで一番高い買い物になった。

正直に書くと、買った直後の感動はそこまで大きくなかった。1万円台の椅子から乗り換えた瞬間、「おお、快適だ」となるかというと、そうでもない。効き目が出るのは3時間座り続けたあとである。安い椅子だと、その頃には腰の一点に体重が集中して、無意識に座り直す回数が増えていた。良い椅子は、この「座り直す回数」が減る。作業が途切れないというかたちで効いてくる。

選ぶときに見るべきなのは、価格帯よりも背もたれの構造だ。背中の曲線に合わせて背もたれがしなるタイプかどうかで、長時間座ったときの体重の逃げ方が変わる。そして座面の奥行きが調整できるかは必ず確認したい。身長によって適切な奥行きは変わるし、ここが合っていないと膝の裏が圧迫される。可能なら店頭で10分以上座って決めるのがいい。

デスクライト

3位はデスクライト。ただし、卓上に置く一般的なスタンドではなく、モニターの上端に引っかけるタイプ(モニターライト)を使っている。BenQのScreenBarシリーズがこのジャンルの定番で、上位モデルは2万円前後、下位モデルなら1万円台前半から選べる。

このタイプの利点は、机の上の面積をまったく奪わないことに尽きる。アームで天板を広げたのに、そこにライトの台座を置いてしまっては本末転倒である。光が手元だけに落ちて画面には反射しない設計になっているので、画面が白飛びしない。

照明の効果は主観に寄りやすいので言い切りは控えるが、部屋の主照明を落として手元だけを照らす状態は、夜の作業がはっきり静かになる。集中の質が上がるというより、作業を終える時間が自然に決まる感覚に近い。

道具だいたいの価格効いてくる場面
モニターアーム1万6,000〜2万円前後目線の高さ・天板の広さ
ワークチェア7万〜10万円前後3時間を超える作業
モニターライト1万〜2万円前後夜間の手元作業

高いものを買って正解だったもの

この3つのなかで、価格に見合ったと断言できるのは椅子とモニターアームだ。理由は同じで、どちらも壊れないからである。

エルゴトロンのアームは10年保証、オカムラの椅子も部位によって長期の保証が設定されている。壊れないうえに保証まで付くとなると、価格を使用年数で割った数字はかなり小さくなる。10年使ったアームは、1年あたり2,000円弱。この計算をしたとき、高い買い物をしたという感覚は消えた。

デスクまわりの道具は「価格」ではなく「価格÷想定使用年数」で判断する。3年で買い替える1万円より、10年使える2万円のほうが安い。

逆に、この考え方が通用しないものもある。次の話がそれだ。

配線をまとめた机下のケーブルトレー

安く済ませてよかったもの

安いままで10年戦えているものも、同じくらいある。ケーブルトレー、デスクマット、モニター裏に貼る配線用の面ファスナー。この3つは合計しても3,000円程度で、それ以上のものを買う必要を感じたことがない。

ケーブルトレーは天板の裏にネジ留めするだけの金属の網で、1,500円前後。電源タップとACアダプタをここに放り込むと、床のケーブルが消える。掃除の手間が減るという意味では、価格に対する効き目が一番大きいかもしれない。ここで凝ったものを買っても、見えない場所なので満足度に返ってこない。

デスクマットも同じで、手首が当たる部分がへたらない素材であれば十分に役目を果たす。むしろ数年ごとに交換して気分を変えられるぶん、安いほうが都合がいい。

長く使う前提で選ぶもの
消耗品として割り切るもの
  • モニターアーム(構造がシンプルで壊れにくい)
  • ワークチェア(保証が長く、部品交換もできる)
  • ケーブルトレー(見えない場所で機能だけ果たす)
  • デスクマット(数年で交換して気分を変える)

この線引きが、デスクまわりで失敗を減らす一番の近道だと思う。全部に良いものを買おうとすると予算が足りなくなり、結果として一番効き目の大きい椅子とアームが妥協される。予算は体が触れているものに寄せる。これに尽きる。

選び方の話はこちら

ここで挙げた道具は、それぞれ選び方に固有の落とし穴がある。モニターアームなら耐荷重とVESA規格と天板厚、椅子ならリクライニングの方式と座面の調整範囲。どちらも一段掘り下げた記事を書いているので、実際に買う段階になったら参考にしてほしい。

モニターアームの選び方|耐荷重・VESA・天板厚で失敗しないために

ワークチェアの選び方|価格帯ごとの違いと、見るべき調整機能

まとめ|長く過ごす場所ほど道具の効き目が大きい

デスクまわりは、暮らしのなかでも投資効率がはっきり分かる場所だった。触れている時間が長く、道具の寿命も長い。この2つが重なる領域では、多少高くても良いものを選んだほうが、結果として支出が減る。

一方で、見えない場所や体に触れない場所は、安いもので何も困らない。ケーブルトレーに1万円を出す余裕があるなら、その1万円は椅子のグレードに回したほうがいい。

引っ越しのあと、バラしたデスクを組み直すのに半日かかった。面倒な作業のはずが、アームのクランプを締めながら、この10年こいつが画面を支え続けたのかと思うと悪くない時間だった。良い道具は、そういう気持ちにさせてくれる。

モニターアームは賃貸でも使えますか。

クランプ式なら壁や床を傷つけないので賃貸でも使える。ただし固定するのは机なので、天板の厚みと耐荷重、そしてクランプを噛ませる奥行きの余裕は事前に確認する。天板が薄すぎる組み立て式デスクでは、たわみが出ることがある。

椅子は本当に10万円出す必要がありますか。

座る時間が1日3時間を超えるなら検討する価値がある。それ未満なら3万〜5万円前後の価格帯でも十分に使える。金額よりも、座面の奥行きと背もたれの調整ができるかを優先して見るのがいい。

全部を一度に揃えるべきですか。

一度に揃える必要はない。効き目の大きい順に、椅子かモニターアームのどちらか1つから始めるのがいい。安価な小物は後からいくらでも足せる。

あわせて読みたい

シリーズの他の回もどうぞ。キッチンまわりと、寝室まわりの話。

キッチンで投資してよかったもの|一人暮らし10年のベストバイ

寝室で投資してよかったもの|一人暮らし10年のベストバイ

なお、ここで挙げた価格はいずれも執筆時点の実売の目安で、セールや為替の影響で動く。最新の価格や在庫は各販売ページで確認してほしい。

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