煙が出ないホットプレート|家で焼肉をするための条件

穴あきプレートで肉を焼く卓上の無煙焼肉グリル

家で焼肉をやった翌朝、カーテンが焼肉屋の匂いになっていた。肉は旨かったので後悔はしていない。ただ、次の日に洗濯機を回す羽目になるのは違う気がする。この記事では、なぜホットプレートから煙が出るのかという原理から始めて、煙を減らす3つの方式の違い、サイズやプレート選び、換気とのセットの考え方までをまとめる。読み終わる頃には、自分の部屋で許容できる煙の量が読めるようになっているはずだ。

目次

家の焼肉が煙との戦いで終わる理由

焼肉の煙の正体は、ほとんどが肉から出た脂だ。加熱されて溶け出した脂が熱い鉄板の上に留まり、そこでさらに焼かれて気化・分解する。この白い煙が部屋中に散って、壁紙にもカーテンにも着く。つまり煙の原因は肉ではなく「熱い鉄板の上に居座る脂」ということになる。

ここが分かると、一般的な平面プレートで焼肉をするのが一番きつい理由も見えてくる。平らな鉄板は脂の逃げ場がない。しかもホットプレートの最高温度はだいたい250℃前後まで上がる機種が多く、脂が煙になる温度帯を軽く超える。強火で一気に焼こうとするほど煙が増えるのは、こういう仕組みだ。

焼肉屋のテーブルに大きなダクトがぶら下がっているのを思い出してほしい。あれは煙を出さない装置ではなく、出た煙を吸う装置だ。プロですら「出さない」より「逃がす」を選んでいる。家庭でも発想は同じで、脂を鉄板から逃がすか、そもそも脂が焦げるほど高温にしないか、出た煙を吸うか——選択肢はこの3つしかない。

脂が水皿に落ちる減煙プレートの断面イメージ

煙が出にくい仕組み

市販されている「無煙」「減煙」を謳う機種は、原理でいうと大きく3タイプに分かれる。どれが優れているという話ではなく、静かさ・手入れ・焼き上がりのどれを取るかという話になる。

水を張るタイプ

プレートに穴やスリットが空いていて、落ちた脂が下の水皿に受け止められる構造。脂が熱源から離れた水の中に入るので、そこで焦げない。最も分かりやすく、価格もこなれている方式だ。

カセットガス式のイワタニ「やきまる」シリーズが有名で、メーカーの説明によれば、プレート温度が約210〜250℃に収まるよう熱のバランスを設計し、落ちた脂は水皿へ確実に落とすことで煙を抑えている。温度を上げすぎない設計と、脂を水に落とす構造の合わせ技というわけだ。電気式でもアイリスオーヤマの網焼き風ホットプレートのように、穴あきプレート+水受けトレイの組み合わせを採る機種がある。

弱点は、焼き面の温度が控えめなぶん、鉄板でジュッと焼き付ける豪快さは出にくいこと。それと、毎回水を張って毎回捨てる手間がある。

遠赤外線で焼くタイプ

ヒーターの輻射熱で焼く方式。プレート自体を焦げ付くほど高温にしなくても中まで火が通るため、脂が炭化しにくい。カーボンヒーターを横から当てるサイドヒーティング方式や、上からヒーターで炙る上火式などがある。上火式は脂が真下の熱源に落ちないので、原理的にはかなり強い。

焼き上がりの良さで選ぶならこのタイプが面白い。ただし本体が大きくなりがちで、価格帯も上がる。ヒーター部の掃除がしにくい機種もあるので、分解して洗える範囲を買う前に見ておきたい。

吸煙ファンつき

出た煙をファンで吸い込んでフィルターを通す、家庭用の無煙ロースターと呼ばれるジャンル。焼肉屋のダクトを小型化したものだと思えばいい。3方式のなかでは煙の低減効果が体感しやすいが、代わりに動作音が出る。テレビを見ながら、会話しながらの卓上調理では、この音が地味に効いてくる。

選ぶときはフィルターが水洗いできるか、交換が必要な消耗品かを必ず確認したい。交換フィルター前提の機種は、本体が安くても数年で費用が積み上がる。

完全に無煙にはならないという前提

ここは正直に書いておきたい。どの方式を選んでも「煙ゼロ」にはならない。メーカーが謳っているのも多くは「煙を約◯%カット」「低煙」であって、無煙という言葉が使われている場合もその意味は減煙に近い。

とくに脂の多い部位——カルビ、豚バラ、ホルモン——を大量に載せれば、どんな機種でもそれなりに煙は出る。タレに漬け込んだ肉も、糖分が焦げて煙と匂いのもとになる。

【煙を増やしてしまう焼き方】

:::box 煙を増やしてしまう焼き方

・予熱でいきなり最高温度まで上げる

・脂の多い肉を一度に敷き詰める

・タレ漬け肉を最初から焼く(塩・素焼きを先に)

・水皿の水を張り忘れる、途中で蒸発させたまま続ける

逆に言えば、機種の力に頼りきらず焼き方を少し変えるだけでも体感はかなり変わる。買い替えの前に、いまのプレートで温度をひとつ下げて焼いてみる価値はある。

匂い対策は換気とセットで考える

煙を減らしても匂いは残る。というより、家焼肉で本当に厄介なのは翌日まで居座る匂いのほうだ。ここは機種の性能ではなく、部屋の使い方で決まる部分が大きい。

基本は、キッチンのレンジフードを最強で回した状態で、そこから離れた場所の窓や給気口を少し開けること。空気の入口と出口を作って、煙が部屋を横切る前にフードへ抜ける流れを作る。ダイニングテーブルがキッチンから遠い家なら、いっそキッチンのカウンターで焼くほうが被害は小さい。

レンジフードを回し、対角の窓を数センチ開ける。この2つだけで翌日の匂いの残り方が変わる。

布への吸着も見逃せない。焼く前にソファのカバーを外す、カーテンを束ねて窓側へ寄せる、洗濯物を別室に移す。地味だが、これをやった日とやらなかった日の差は大きい。空気清浄機は焼いている最中よりも、食べ終わってから1〜2時間回すほうが効く。

一人用と家族用のサイズ

減煙タイプはプレートが小さめの機種が多い。これは欠点ではなく、脂を落とす構造とセットで成り立っている設計だからだ。とはいえ人数に合わないサイズを買うと、結局「焼くのが追いつかない」という別の不満になる。

人数目安の焼き面向くタイプ
1人〜2人直径20〜25cm前後カセットガス式・小型の水皿タイプ
2人〜3人30cm前後電気式の穴あきプレート・遠赤外線
4人以上40cm以上/2台運用大型プレート・吸煙ファンつき

一人暮らしの1LDKで使うなら、大きさより「出しっぱなしにできるか」で選んだほうが後悔しない。しまい込んだ調理家電は本当に使わなくなる。食器棚の下段に立てて置ける厚みか、コードが本体に収まるか。この2点は店頭でもスペック表でも確認できる。

取り外した穴あきプレートと水受けトレイ

プレートの種類と洗いやすさ

減煙タイプはプレートに穴やスリットがある。当然ながら、平面プレートより洗う手間は増える。ここを軽く見ると、2回目の焼肉が来なくなる。

まず見るべきは、プレートと水受けトレイが本体から完全に外れるか。次に、それが食洗機に対応しているか。分離できない一体構造の機種は、シンクで角度を変えながら洗うことになって面倒だ。フッ素加工の有無も効いてくる。加工ありなら焦げが落ちやすい代わりに、金属ヘラやたわしで削ると寿命が縮む。

穴あき・網タイプ
平面プレート
  • 脂が落ちて煙が少ない
  • 網焼きに近い食感になる
  • 洗う面が増える
  • 洗うのが圧倒的に楽
  • 焼きそば・お好み焼きにも使える
  • 脂が留まって煙が出やすい

この手の「後片付けが面倒で使わなくなる家電」問題は、洗いやすい道具を選ぶだけでかなり解決する。台所まわりの道具選びはキッチン雑貨のおすすめまとめにも書いた。トングや油はねガードのような細かいものほど、焼肉の満足度を左右する。

タイプ別のおすすめ

方式ごとに1機種ずつ挙げる。どれも卓上で使う前提の、煙が出にくい設計の製品だ。

イワタニ 屋内用カセットガス 焼肉グリル やきまるII
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • プレート温度を約210〜250℃に保つ設計で煙が出にくい(公称)
  • カセットガス式でコード不要、卓上での取り回しが軽い
  • 実売7,000〜9,000円前後と手が届く
デメリット
  • 焼き面が小さく大人数には向かない
  • カセットガスのランニングコストがかかる

一人〜二人での家焼肉なら、まずこれで正解に近い。素晴らしい割り切りである。コンセントの位置に縛られないのが、狭い部屋では効いてくる。

アイリスオーヤマ 網焼き風ホットプレート
総合評価
( 4 )
メリット
  • 穴あきプレート+水受けで脂が熱源に落ちない
  • 平面プレートやたこ焼きプレートが付く機種を選べる
  • 電気式なのでガス缶の管理が不要

焼肉だけでなくお好み焼きや焼きそばもやりたいなら、プレート交換式の電気タイプが合う。8,000円前後から選べて、セール時はもう少し下がる。

山善 XGRILL(減煙タイプの焼肉プレート)
総合評価
( 4 )
メリット
  • メーカーによれば煙の発生を約70%カット
  • 価格が控えめで一人暮らしの入門機に向く
デメリット
  • 大人数の焼肉には焼き面が足りない

「まず試したい」枠。数値の根拠はメーカー公称なので鵜呑みにはしないが、平面プレートとの差は分かる程度には出る。

吸煙ファンつきの無煙ロースターは、上記より一段上の価格帯になる。頻繁に焼肉をやる、来客が多い、賃貸で匂いを絶対に残したくない——このどれかに当てはまるなら検討する価値がある。年に数回なら、水皿タイプで十分だ。

ほかの調理家電との使い分け

ここまで書いておいて何だが、焼肉を家でやる方法はホットプレートだけではない。魚焼きグリルに耐熱皿を置いて焼く手もあるし、オーブンレンジのグリル機能でも肉は焼ける。煙という一点だけ見れば、庫内で完結する調理器のほうが有利ですらある。

それでもホットプレートが選ばれるのは、焼きながら食べるという体験そのものが目的だからだ。テーブルの真ん中で肉が焼けていて、各自が好きなタイミングで取る。あの時間を再現できるのは卓上調理器しかない。目的が「肉を焼くこと」なのか「焼きながら食べること」なのかで、買うべきものは変わる。

逆に、平日の食事を効率よく作りたいという話なら電気圧力鍋やオーブントースターのほうが出番は多い。この辺りの棲み分けは調理家電のおすすめまとめで整理している。ホットプレートを月1回のイベント用と割り切ると、収納場所も価格帯の判断も決まりやすい。

まとめ|煙の量が読めれば家焼肉のハードルは下がる

煙は「熱い鉄板の上の脂」から出る。だから対策は、脂を落とす(水皿)か、温度を上げすぎない(遠赤外線)か、出た煙を吸う(ファン)かの3択になる。完全な無煙にはならない前提で、換気と焼き方をセットで組む。ここまで押さえれば、あとは人数と収納で機種が決まる。

一人〜二人ならカセットガスの水皿タイプ、家族で使うなら電気式の穴あきプレート、頻度が高いなら吸煙ファンつき。この順で見ていけば大きく外さない。値段の上下や在庫は時期で動くので、狙いの機種が決まったらセール時期を待つのもありだ。

そういえば、翌朝の匂いを気にして換気を頑張った日は、なぜか肉が余る。焼くことに集中しすぎるのだろう。皆さんはちゃんと食べきれているだろうか。

煙が出ないホットプレートは本当に煙ゼロですか?

ゼロにはならない。多くの製品は「減煙」「約◯%カット」という表現で、脂の多い部位を大量に焼けば煙は出る。ゼロを求めるなら吸煙ファンつきの無煙ロースターが最も近いが、それでも換気は併用したい。

焼肉で煙が出にくい温度はどのくらいですか?

脂が煙になり始めるのは概ね250℃を超えたあたり。イワタニのやきまるは公称でプレート温度を約210〜250℃に保つ設計になっている。温度調節ができる機種なら、最高温度ではなく中温域で焼くほうが煙は減る。

水皿の水はどのくらい入れればいいですか?

機種ごとに指定の量と線があるので、その通りに入れる。焼いている途中で蒸発すると脂が直接受け皿で焦げて煙が出るため、長時間焼くときは途中で確認する。詳しい量は各製品の取扱説明書で確認してほしい。

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